■ユニトピアささやま 花の植物館

概要

 花の植物館のある‘ユニトピアささやま’は、篠山市に位置し1972年松下電器産業労働組合の緑を守る運動拠点、休暇村として組合員自らの資金と労力で創り上げた施設で宿泊施設、キャンプ施設、グランド、屋外庭園で総面積27ha、周辺借地山林を含め100haにおよびます。一般開放もされており、花の植物館開設前は利用者年間10万人でした。花の植物館に求められたものは、組合員の休暇村から組合の緑の運動のテーマ感づくりであり、経営面では雨対策、通年利用で利用者増大、運動としては共生の大切さ、花と緑の暮らしを提案、地域振興です。以上のことから春に集客力、冬の利用も可能な植物館整備を決定。その結果、開設3年で25万人の入場者数を確保、篠山町の観光入り込み者の増加にも大きく貢献しました。 



所 在地  兵庫県多紀郡篠山町矢代
発注者  (株)松下電器産業労働組合
設計者  
  (株)AAP(総合プロデュース)      
  辻本智子 (株)AAP
         ( 展示プロデュース 植栽デザイン)
  栗生明 (株)栗生総合計画事務所 
        (建築設計)

建築、レストラン経営を除く展示計画・設計・施工監理まで全般を担当、開設後、運営管理全般をプロデュース。

 


計画の特色

 花の植物館は花と緑のある暮らしを伝える植物館として、花の万博の2年前1988年に開設されました。建築、施設内用、展示手法等全てにおいて従来の温室とは全く異なる概念で整備されました。


内部空間と外部空間の一体化した温室
内部の展示だけでなく、町並みにガラスをかぶせ、雨や寒さに邪魔されず、美しい森を背景に季節の変化を楽しめる内部と外部の一体化を図りました。


花と緑のある暮らしの提案

レストラン、ショップが並ぶ町並みをつくり、様々な緑化の方法を具体的に提案。ハーブの天空ジャグジー、エディブルフラワーのサラダなど五感に訴える花と緑のある暮らしを提案しました。


季節感のある温室

空調は基本的に自然監理ですが、冬季のみポインセチアが生育可能な最低12℃程度を確保。10℃前後で低温感応できる温帯性落葉樹のハナミズキなどを用いて、花や紅葉が温室内で体験できるように整備しました。


ユニークな植物展示手法

能ショー毎に展示全体が様変わりするショースペース型展示。高山、ジャングル、砂漠など異なる気候型の植物を4m×4m×8mの環境コントロールケースで育てる水族館方展示などコストと効果を考えた展示手法を用いました。


地域振興、観光振興

歴史的魅力を持つ篠山に新たな森をテーマに魅力を与える施設を導入するため、建築の形やレストランの内容に地域性を工夫しました。


後継者育成

地域後継者の育成と日本最初の高齢者雇用会社(松下労組と地域)で下請け会社の技術指導として設計者およびナイアガラ公園協会からの専門技術スタッフを配置しました。


教育・研修制度

自然の大切さを伝える子供ミュージカルグループの結成。大学生に対する園芸研修制度などを設けました。


緑と運動のテーマ館としての役割

ユニトピアささやまは組合員が全員参加で創り上げた組合のシンボルです。花の植物館開設後は、植物スタッフが雑木林の管理教室を開き、研修を受けた組合員は松下電気の工場等がある地域の森林の管理ボランティアを行うという組合の緑の運動の研修の場と位置付けました。


町並み、ショップ、レストラン、カフェ …
空間全体が 花と緑ある暮しを提案する花の町。

花や紅葉で温室内の季節感を演出

花木、樹木、ハーブ…香りの植物を集めた
香りの 小径公園。季節ごとに姿を変え
2シーズン、3シー ズンと使える植物素材の提案


          イベント、教室等 子供達に自然の大切さを伝える子供自然教室の企画や、地球レベル民俗学的アプローチ..
広い視野で自然と人間の共生を伝えるイベント企画をおこないました。