今月のエッセイ

 
 新しい形のフラワーイベント

―夢舞台ラン展とさぬき花ルネサンス―

新年明けましておめでとうございます。
「今年が皆様にとって良い年になりますように、園芸界にとっても新たな展開の一歩の年でありますよう。」

今年の私のお仕事のゴールは、昨年、ジャパンガーデンフェア2007の10周年記念プロジェクトとして担当させていただいた「伝統園芸ルネサンス」や10年ほど前から町づくりのお仕事や地場産業、伝統工芸の方々とのコラボレーションで展開してきた「ガーデンルネサンス」をさらに社会にもっと見える形にしていくことと考えています。
今年最初のビックイベント「淡路夢舞台ラン展2007」です。すべてが東京中心で行われるフラワーショーですので、夢舞台温室のラン展をご覧になっていらっしゃらない方がほとんどでしょうが、フラワーショーをディスプレー空間で展開し、「人にとっての花って何なのか」ということと、植物そのものの「生きる姿の巧妙さ、美しさ、すばらしさ」を感じさせるという点では何処のフラワーショーでも、また何処の植物園でも見ることができない「一味違うラン展」です。

さて、ラン展が終わって一週間の準備を終えると次はJFFかがわです。2007年3月2日〜4日までの3日間のイベントです。
これはまったく従来のJFFとは異なる形のイベントとなります。何が違うかということですが、まず、テーマ「花ルネサンス」、つぎに空間「会場は商業複合ビル」そして主役は県民「住民」そして「展開型、さきがけ的イベント」であるということです。
今までのイベントは箱型の施設で行われるか、岐阜や鳥取のように大きな温室と屋外スペースを持つ空間で展開されました。しかし、今回のJFFかがわというのはサンポート高松という高松港近くにある超高層ビルをガレリア空間中心に使うのです。中には音楽ホールや国際会議場等立派な施設がいっぱいですが、あまり人が使っているようには見えません。この空間を面白く使い、今後のイベントの参考にしていただこうという空間提案も目的のひとつです。
テーマの花ルネサンスは、私のガーデンルネサンスの香川版といえるでしょう。香川県は盆栽、小品盆栽、東洋蘭など伝統園芸の地です。また、漆器やちょうちん、竹細工などの伝統工芸も残っています。今も栗林公園や玉藻城跡では盆栽展や小品盆栽展が行われています。
江戸時代の松平家の時代から築かれた、その伝統文化を日常の暮らし方、まちづくり、暮らしの空間・庭造りに生かし、継承していくことにより「美しい日本のふるさと」を創ろうとするものです。町の景観とはそこで生活する人の「生きざま」が長い時間をかけて作り上げるものです。
美しい町とはそこに生きる人々のくらしがいきいき美しいということではないでしょうか。
「会場空間」のサンポート高松は二つのタワービルの間にガレリア空間があったり、オリーブタワーというガラス温室のような高層空間を持つのです。ここには今まったくお花がありません。そこで、この空間を生かして空中庭園というテーマで様々な試みをします。天空にまで届くような階段を生かした「フラワーウェーブ」。これはこれからの都市空間の花修景の新たな方向を示す物となるでしょう。
また、空間いっぱいにハンギイングバスケットを飾るのは花飾り隊300人衆、これは香川県民が自ら作り上げたハンギイングバスケットでこの空間を飾っていくのです。そして、個々で使ったバスケットはその後、個人が持ち帰り、町のイベントや公園のイベントに、そのバスケットで参加するのです。ここで終わるのでなく、このイベントから、本格的花の町づくりが始まるのです。
今回はこれ以外にも県民参加の部分がいっぱいです。オープンガーデンコンテストは全国、四国、香川県民が参加し、五感に訴え、地域性を感じられる暮らしの中の庭を提案します。ネーチャーギャラリーでは子供と大人が一緒になり自然の美しい形を壁面に創り上げていきます。
 お花屋さんたちも「花の一生」というか花と私たちの一生のかかわりをミュージカル&フラワーパーフォーマンスで見せてくれます。漆器をモダンに使ったテーブルコーディネートなども楽しんでいただけます。
もちろん生産者の品評会もあります。新品種のコンテストもあります。一般の人にとってもどんな植物があるのかなと興味ぶかいものとなるでしょう。私がプロの方々に見ていただきたいのは一般の方々が何を望んでいるかということです。
新たな形のJFFはかなり手がかかります。予算は過去から考えると驚くほど少なくなっています。私はこのJFFのあり方を真剣に考え直す時期に来ているのではないかと思うのです。地域を見つめながら、All Japanにつながる情報を発信していけるということが必要ではないでしょうか。
今回はまったくできていませんが、花き栽培における地域環境、地域性を踏まえた展開をコンテスト項目としていくことも、今後の花き生産者のためにJFFが考えるべき内容でないかと思います。

 

人を育てる植物園

デザインの力

TOPへ